フィラリア予防薬はどうして冬まで飲ませるの?

5月に入り、本格的なフィラリア予防のシーズンに突入しました!

この辺りの地域では、今の時期から12月初旬くらいまで

毎月1回予防薬を飲ませて頂くことでフィラリアから完全に予防できます。

患者さんからはよく、

フィラリア予防薬は蚊がいなくなった12月まで、どうして飲ませないといけないのですか?」

という質問を受けることがあります。

何故だと思いますか?


厳密に申し上げますと、完全なフィラリア予防というのは蚊に刺されないことです。

ただ、ヒトでも一年を通して蚊に刺されないように過ごすのが難しいように

ワンちゃんも同様です・・・。

現在、毎月1回飲ませて頂くフィラリアの予防薬は名前は予防薬ですが、

これも厳密に申し上げますと、実は一種の駆虫薬なのです。


フィラリアの子供の虫(感染子虫)を持った蚊がワンちゃんを刺すと、

感染子虫がワンちゃんの血液中に入って来ることがあります。

もし、入ってきた場合、その子虫はしばらく血液の中を流れ、

1か月〜1ヶ月半くらいで筋肉や皮下組織で脱皮をして成長するのですが、

その脱皮してる子虫を殺すというのが、現在の月に1回飲ませるフィラリアの予防薬のメカニズムです。


この辺りの地域では感染力を持った蚊が10月いっぱいくらいまで飛んでいますので、

野外の蚊がいなくなった10月で予防薬をやめてしまうと、

10月に蚊に刺され感染したかもしれないフィラリアの子虫は残ってしまうことになります。

ですから、フィラリア予防は蚊が出始めてから少し遅れてスタートし、

蚊がいなくなると同時にやめるのではなく、蚊がいなくなってから、

1カ月〜1ヶ月半程ずらして最後の投薬をして頂くことで確実な予防ができることになります。


近年の地球の温暖化に伴い、昔は存在しなかった寒い地域でのフィラリア症の報告や

今後、フィラリアの予防期間も長くなる可能性もあります。

フィラリアという虫は、まだまだ、謎も多い虫でありますが、

研究も進み、予防をしっかりすれば、ワンちゃんにとって全然怖い病気ではありません。

今年もしっかり予防してあげましょう!!


今日はワンちゃんのフィラリア症のお話でしたが、

実はフィラリア症はネコちゃんにも・・・?ヒトにも・・・?

また次回お話させて頂きたいと思います。


GW中は人間の気が緩むことにより、ワンちゃんネコちゃんの事故や

環境の変化により体調を崩す子も多くなりますので、気を付けてあげて下さい。